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「千と千尋の神隠し」のモデルとなったのは?

まるで絵画の世界から飛び出してきたような温泉街「銀山温泉」この場所は2001年に公開された映画「千と千尋の神隠し」の舞台のモデルと言われています。
詳しい人なら気が付きますが、実は「千と千尋のモデル」と言われている場所はいくつかあります。群馬の四万温泉、長野の渋温泉、宮城の鎌崎温泉、鳥取の羽合温泉などがそうですね。
今回ご紹介する山形の銀山温泉もその1つです。根拠となる理由を調べましたが、2001年に書かれたスタジオジブリのブログには監督が「色々な温泉が入っていて、特定のモデルはない」と話している様子が綴られています。
ただ宮崎駿監督は「道後温泉は確かに入っている」とも話しています。「スタジオジブリ絵コンテ全集13 千と千尋の神隠し」(徳間書店刊)の「カット番号733」(333ページ)には「導後」という文字が描かれています。
ただ銀山温泉などのその他の温泉についてもブログでは完全否定しているわけではありません。似ていることについてはスタッフさんも認めているので、そのあたりに思いを馳せながら温泉街を歩くのがよさそうです。
寂れた温泉街が奇跡のV字回復

山形尾花沢市の銀山温泉は元々、銀が採掘される銀山でした。
江戸時代初期に、日本三代銀山の1つ延沢銀山がこの場所にあったんです。
延沢というのは、江戸時代にこの場所を納めていた武士の名前。そんな延沢銀山で働いていた坑内員が発見したのが銀山温泉でした。その坑内員が発見した温泉が500年以上経った今も愛されているわけです。
このような歴史を持つ銀山温泉ですが、観光客のピークとなったのは2005年度の34万人でした。しかし…ここから客足は途絶え、観光客の数は一気に右肩下がり。さらに銀山温泉を自然災害が襲います。2011年3月11日の東日本大震災です。
山形だけでなく東北を中心に深刻な被害を与えたこの震災。観光業にネガティブな影響がありました。銀山温泉への影響も甚大で、この年の観光客は25万5000人。もう下げ止まらないほどの数まで下がってしまったわけです。
その後、多少は観光客が増えたもののピーク時の観光客数には戻らず、低空飛行での横ばいが続きました。しかし…銀山温泉はここから奇跡の回復。観光客はピーク時を超える38万7000人人へ。
V字回復を果たしたアイデアは…
外国人観光客をガンガン受け入れた

ヒットポイント一桁で死にかけていた銀山温泉。起死回生のアイデアとして、外国人観光客を積極的に受け入れました。……よくありそうな話じゃないかって思いますよね。ポイントはどうやって外国人観光客を呼び込んだのかです。
外国語のパンフレットを作ったり、施設の案内板の表記に外国語を足した…なんてことをしても急に海外から観光客は増えません。(当然このあたりの対策も尾花沢市の観光課はされています)
問題は宣伝をどうするかで、これは銀山温泉に限らず多くの観光地、はたまた企業が頭を悩ませています。
で、話を戻して…。
山形県尾花沢市の観光課は、自身のキラーコンテンツである銀山温泉をどうやって海外で広めたのか。外国のテレビクルー、旅行のエージェント、さらにはブロガーに呼びかけ広告活動を行ったといいます。
テレビのようなマスメディアだけでなく、ブロガーという口コミに近い小さなメディアまで、大小様々な形で情報発信を行ったんですね。こうした作戦で、銀山温泉を訪れる観光客は2年で約3倍に増えました。
海外へ銀山温泉の魅力をアピールしたのはもちろん、wi-fiの整備やQRコードを使った音声ガイドと施設の満足度も高めています。
大正ロマンに浸れる能登屋旅館

銀山温泉に数ある温泉旅館の中で、抑えておきたいのが能登屋旅館。
創業は明治25年(1892年)で、本館のが建てられたのは大正10年(1921年)国の登録有形文化財にも指定されています。注目していただきたいのが柱や戸袋に施された鏝絵(こてえ)戸袋というのは、引き戸の「戸」が収納される場所のこと。

鏝絵は、左官職人が漆喰で作ったレリーフ(浮き彫り細工)のこと。銀山温泉では能登屋旅館の他にもあるので必見です。
住所:山形県尾花沢市銀山新畑446
アクセス:JR大石田駅から「はながさバス」銀山温泉行きで、終点下車、徒歩8分
TEL:0237-28-2327
銀山温泉へのアクセス

銀山温泉へのアクセス情報です。
● 東北自動車道/古川IC → (国道47号線) → 鳴子 → 赤倉 → 山刀代峠 → 尾花沢 → (国道347号線) → 銀山温泉
● 東北自動車道/村田JCT → 山形北IC → (国道13号線) → 尾花沢 → (国道347号線) → 銀山温泉
● 東北自動車道/仙台宮城IC → 関山峠 → 東根 → (国道13号線) → 尾花沢 → (国道347号線) → 銀山温泉
■ JR・鉄道
● 山形新幹線利用/山形 → 奥羽本線急行で40分 → 大石田バスで15分 → 尾花沢のりかえ40分 → 銀山温泉
● 東北新幹線利用/仙台 → 特急バス(新庄行)で約2時間 → 尾花沢のりかえ → バスで40分 → 銀山温泉
■ 飛行機
● 山形空港/お車で1時間 → 銀山温泉
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