台湾観光の穴場スポット!世界が認めた美しすぎる駅のステンドグラス

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台湾、美麗島駅のステンドグラス
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圧巻!4500枚のステンドグラス

美しさに圧倒される台湾の美麗島駅。改札を出ると出てくるのが訪れた人を魅了するステンドグラス。その数なんと…4500枚!!

●世界で最も美しい地下鉄の駅2位(2012年/アメリカの旅行サイト)

●アジアで最も美しい地下鉄の駅1位(2014年/CNNトラベル)

世界でも認められる美しさです。でもどうして美麗島駅にはこれほど美しいステンドグラスは美しいのでしょうか。理由は、台湾政府の政策にあります。台湾ではパブリックアート=公共芸術という動きがあるんですね。公園や道路など公共のスペースに芸術作品を設置すること。東京でもありますが台湾のパブリックアートは他とは違う特徴があります。

台湾は「パーセント・フォー・アート」といって、公共の建物きかけた建設費の1%をパブリックアートの制作費に割り当てる制度があります。その1つとして誕生したのが美麗島駅のステンドグラス光之穹頂(光のドーム)です。


パブリックアートとして生まれたステンドグラス。制作したのはイタリアの芸術家 マエストロ・ナルシサス・クアグリアータさん。

この人を中心にドイツの制作会社によって生まれたアートです。このイタリア人の芸術家、ただものではりませんでした。パブリックアートも当然お金がかかるので、設置する高雄市は大変です。そこで高雄市は「募金箱を置きましょう」と提案しました。

しかし、イタリア人芸術家はこう返しました。「どんな形でもお金を取るようだったら引き受けない!」強気です。制作費は自治体で工面して、市民や観光客には負担させないということですね。そうしたことがあって、今も美麗島駅の光のドームは完全無料公開です。実際に見てみると分かりますが、「これが無料なの?」というクオリティです。

ちなみに高雄市は今後も光のドームに関する寄付金は受け付けないのだとか。芸術家も自治体もどちらも粋ですね。

4年半かけて完成した芸術品

そんな紆余曲折があって生まれた台湾・高雄の光のドーム。「祈り」をテーマに作られたこの作品は、4500枚ものステンドグラスが使われています。

イタリア人の芸術家・クアグリアータ氏が4年半かけて、自らの芸術家人生の集大成として生み出した作品です。

クアグリアータ氏が設計したパーツをドイツの会社が作り、台湾に運びました。とてもグローバルな作品なんですね。

驚くべきはステンドグラスのデザイン。4500枚全てが同じではないんです。中には複雑なデザインのものもあれば、色の違うものだってあります。それを全て手作業ではめて完成させた直径30メートル、面積660平方メートルの世界最大のステンドグラスアートが誕生しました。

ステンドグラスに込められた意味

存在感のある紅と蒼の2本の柱。これもただキレイなわけではありません。ちゃんと意味があるんです。この2本の柱が表現しているのは「世界」蒼は生命を育む海で、赤は今にも噴火しそうな情熱。世界はこの陰と陽によって成り立っているんだという意味があるのだといいます。

天井に張り巡らされたステンドグラスにも意味があります。建物内上部のステンドグラスは水、土、光、火の4つのテーマに分かれています。

「水」のステンドグラスが表現しているのは「生命の誕生」

生命の誕生である海の中に月を身籠った女性が描かれています。

続いてのテーマは「土」

成長と反映がテーマで大地に見立てた男性の胸から樹木が生えている様子が描かれています。

続いてのテーマは「光」

光のエリアは生命の前進と希望がテーマ。赤い柱から解き放たれた太陽が描かれていて、人と神が舞う姿が表現されています。

続いてのテーマは「火」

「火」のテーマは破壊と再生。争う2人から恨みの炎が放たれ、辺り一面に広がる中、フェニックスが飛び出す姿が表現されています。

ステンドグラスのある駅舎に込められた意味

4500枚のステンドグラスが美しい美麗島駅。この駅舎は日本人の建築家・高松伸さんによって建てられました。テーマは愛と寛容。そして駅舎をよく見ると両手を合わせて祈っているように見えます。

このようなテーマは、1979年に起きた事件がきっかけです。この年、高雄市で起きた民主化運動「美麗島事件」が関係しています。

雑誌「美麗島」が主催したデモがありました。集まった市民と警官が衝突。関係者は捕まり、軍事裁判が行われ全員が有罪判決でした。

この事件で有罪となった人物は後に政治に進出。現在の台湾の議会制民主主義へと繋がっていきます。台湾の国が大きく変わるターニングポイントとなった事件。そのデモが起きた場所こそが、現在の美麗島駅の目の前の交差点です。「美麗島駅」という名前はこの事件が元に名付けられました。

駅舎が祈りを捧げる手に見えるのは、そうした事件が起きた場所に建てられたことも大きいでしょう。

美麗島駅へのアクセス
①台北駅から新幹線に乗り左営駅下車(乗車時間 90分)
②台湾鉄道(MRT)に乗換えて美麗島駅(乗車時間 10分)
まとめ
・美麗島駅には4500枚のステンドグラスアートがある
・台湾が行っているパブリックアートの施策の一部
・台湾を議会制民主主義へ導いたデモが起きた場所に作られた

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